NC通信(柳川房彦/新城カズマメールマガジン)サンプル

 

 
 
 
 
 

1999年8月3日(NC通信創刊号)より
 

〈NewCastle通信・その1【注-1】〉

19990802【注0】
 というわけで始まりました。新城カズマ/柳川房彦ファンクラブ『散歩男爵』
の特別企画{あ、しまった、企画の正式名称を決めてなかった……波島君【注
1】、何か良いアイデアは?}。
 要は、『狗狼伝承』シリーズ第4巻の製作過程をご覧いただき、さらにはその
過程へゲーム的に参加していただだこう、というものであります。不調法ゆえ至
らぬ点も多々あるとは思われますが、なにとぞ御容赦いただいて、しばしのおつ
きあいをば??。

 そんなわけで、まず手始めとしましては……

◆『ああ、題名が! 題名が!』
 いきなり楽屋裏で申し訳ありませんが??実は今回の『狗狼』第4巻、当初の
腹づもりでは別のストーリーにするはずが、担当編集女史【注2】との協議の結
果、
編「??嵯峨の話にしましょう!【注3】」
新「え、そうなんですか!?」
編「そうなんです」
という会話が交わされまして。そうなるとタイトルも当然、
     『◇◇◇◇・サガ』
になる……はずなのですが。しかしまさかそんなことになるとは思ってもいなか
った新城、タイトルを思いつかずに悩んでいるのが昨今の実状。
 そもそも今回のシリーズ、なにかといえばタイトルに悩まされるのが運命なの
か、シリーズ名そのものもじぶんと長い間悩みまくってから決まったものですし
【注4】、3巻『夢幻剣士・リオ』も執筆中は『追憶剣士・リオ』だったのです
から。
 てなわけで。
 4巻を書き始めた【注5】はいいものの、未だに題名が決まっていないのであ
ります。ど、どうしよう?
 

◆募集コーナー……『あのキャラにこんなセリフを言わせてみたい!』
 第4巻の内容は今後みなさまとのメールのやりとりの中でちらちらと言及して
いくつもりではありますが、それとは別に、「こんなシチュエーションで、この
キャラクタに、こんなセリフを言わせてみたい」というご要望(もしくは妄想)
がありましたら、ぜひにお知らせください。面白いネタは(ストーリー上可能で
あれば)どしどし採用させていただきます。

◆その他募集……
 とりあえず今回は1回目ということで、短めにまとめてみましたが、他に「こ
んな裏話が聞きたい!」「こういうことを募集してはどうか?」「さやかさんは
俺のものだ!」等ありましたら、散歩執事のほうまでご連絡くださいませ。

 それでは新城は小説執筆を再開いたしますので……また次回!
 
 

【注-1】なんの表題もないのは落ちつかないので、仮につけてみました。要する
に「新城」を英訳しただけですけど……改善案受付中!
【注0】暗号でも何でもなく、ただの日付であります。
【注1】『散歩男爵』の代表。通称・散歩執事。全長50メートル、体重7万ト
ン。
【注2】あとがきにしばしば言及される、例の「三ヶ月」佐藤女史であります。
【注3】ほんとは「嵯峨は×××××××××だから××××××ましょう」て
なことをのたもうたのですが、あんまりバラしてしまうと今後の興をそいでしま
うので一部削除であります。
【注4】はじめは、なんと『流斬少年・スオウ』のほうがシリーズ・タイトルだ
ったのです。いや、ほんとに。
【注5】たいていの場合、僕はストーリー展開を最後の1行まで決めてから(も
しくは最後の1行を)書き出します。たとえば今回の話は紙吹雪で終わることも
わかっているのですが……しかし話が決まっているのに題名が決まっていないと
いうのは、もしかしたら初めてのことかもしれません。
 
 

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1999年12月12日号その2より

うう、眠い。いつのまにか時間は5時40分過ぎ。
わしもめっきり徹夜に弱くなったのう、げほげほ。

さて、5巻。マルセル青年の話。すでにこのメルマガを
読んでくださってる皆様は、彼と彼の双子の妹であるミュリエル
が、実は××××の××であることは御存知だと思いますが、
そんなこともあって新城としては、あの二人はけっこう気に入って
いるのであります。
てことは、当然いろいろとヒドい目に遭わされるわけで^-^)。
ふっふふふ、どんな目に遭わせよう。

大晦日。といえば初詣。すでに次回の舞台は東京都内の某有名
神社と仮決定しております。しかし、新城はそこへ行ったことが
一度もありません。むむう。浅草寺とか明治神宮なら、以前は
先輩と一緒に深夜散歩がてら行ったことがあるんだけどなあ。
ちなみにこの先輩(畏友T氏であります)はたいそうな健脚の
持ち主で、彼にひっぱりまわされて新城は歩き回ること(だけ)は
非情に達者な人間になりました。それ以外では、非情に貧弱と
いうか病弱なのですが。してみると散歩男爵を自称するにまで
なれたのは、このT氏に学生時代から引きずり回されたおかげと
言えるかも知れません。
(どのくらい引きずり回されたかというと……ある年などは、夜の
9時くらいに六本木から出発して日枝神社を経由して浅草寺へ行き、
そこから反転して神田明神を詣ったあと西へ向かって新宿で焼き肉を
食べ、さらにそのまま進み続けて阿佐ヶ谷まで至ったときにはもう
朝だった……などという一大ツアーの初詣もありました。ふだんは
それほどでもないのですが、それでも三田にあった大学から神保町まで
歩くなんてのは日常茶飯事だったりなんかして、まあ若い頃はムチャを
したもんだと、今ではもう素敵な思い出でありますわい、げほげほ。
東京の地理がわからない方、ごめんなさい。とにかく、けっこう
歩いたんですよ。)

 む、いかん。いつのまにか昔話になっとる。プロット、プロット。
今のところ、マルセルと×××が●●して、ミュリエル嬢のほうは
●●●と▼▼するというところまでは見えてるのですが。あとは
クライマックスで、周防少年がどんな女たらしなセリフを吐くか、と
いう事さえ判れば『狗狼伝承』のお話はできあがりも同然であります。
しかし、いつのまにあんなに女たらしになったのだ、周防は。最初は
こんな予定じゃなかったのに。なんでじゃ。やはり新城の深層心理の
なせるわざなのか。いやまさか。ちなみに新城はフェミニストで女好き
ではありますが、女たらしではありません。う〜んプロット。4巻は
基本的に密室劇だったし。3巻は心理劇かなあ。いや、それは毎度の
ことか。2巻は……これも「閉じこめられる」系の話か。1巻だけは
なんか普通の「主人公とヒロインが出逢いました」という構造だなあ。
できれば次は、直線的にキャラクタが移動するような話を……むむ、
××神社までの道行きを中心にもってくるか。で、クライマックスが
初詣の大混雑。そこへ怪獣型狗狼が出現。チャンバラ。……待てよ、
マルセルはどこに出て来るんだ。マルセルと狗狼……一撃でマルセルの
負けじゃん。マルセルと周防。……やっぱ負けるな。てゆうか、マル
ちゃん、ただの人間だし。あんま戦闘向けでもないし。彼の取り柄……
は、真面目なところ。善人であること。ただしそれは非情に嶮しい正義
に基づくものであって。「生き延びた奴が生き残した奴らと共に自分たちの
正当性を信じられる社会をつくることができるだろう」というのは、
『はみだしっ子』のグレアムの科白。マルセル青年はたぶん、この言葉に
留保無く賛同するタイプでしょう。ちなみに2巻の終わりで彼が吐いた
科白(罪なき人間が殺されるというなら現在のこの世界の規範は無意味だ、
とかいうアレ)は、J・P・サルトルが言ったとかいう「世界のどこかで
幼い子供が独りでも飢えているならすべての哲学は無意味だ」云々という
科白のもじりであります。マルセル君はサルトルも読んでるんでしょう。
母親フランス人だし。きっと原書で読んでるに違いあるまい。う〜ん。
なんて初々しいやつなんだ。初々しい、てのはちょっと違うか。
新城はサルトルよりデカルトのほうが好きですが(特に後者が、なんだ
かんだ言って実生活の中で懐疑の一時的留保を認めているあたりが)。
「そうはいっても、畑は耕さねばなりません」とは誰の言葉だったか。
新城は大いにこの言葉に共感をおぼえるのですが、マルセル君はそうは
言わんでしょう。正義か、さもなくばこの世界の死か。むはあ。こういう
人間が、いちばんサリンを撒きやすいのか。あるいはもっと、にっちも
さっちもいかなくなってしまった人間が、むしろ「正義に基づく邪悪」を
おこないやすいのだろうか。むむむ。それにしてもWTOの顛末には
笑いましたわい。冷戦終結10年目が、WTO対NGOだったというのは、
それはそれで辻褄のあってるような気もするけど。なにしろこの10年は
壁の上のダンスと戦車の上の酔っぱらいで始まってるしなあ。こんなもん
かもしれまへんなあ>世界って。
さてマルセル。彼をどうすれば、いちばん周防が苦しむか^-^)。ふふふ。
追跡劇。周防の痕跡はどうやってわかるか。マルセル君の側にも何か
便利なアイテムがあったほうがいいかも。それとも、ただの人間がひたすら
頑張って時念者を追いつめるほうが面白いか?その場合の手法は?ふつうの
人間のどのような行動が、もっとも時念者を追いつめられるか?
時念者とは「誰かを傷つけずにはいられない者」。だからこそ、隠れて
生きようとする。がしかし「独りぼっちでは寂しすぎる」。という二律背反。
「無神経ではいられない人」。
マルセルは無神経でいられるのだろうか?
彼にとっては、殺された女の子と、ミュリエルだけが、救われるべき範疇なの
かも。無神経としての正義。それが周防を追いつめる。

……う〜む、やっぱマルセルは周防の正体を満天下にばらそうとするのか?
 

(以下、運が良ければ翌日に続く……)
 
 

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2000年1月1日号より
 

         賀正
 

 過ぐる千年紀は、大変お世話になりました
 新千年紀もよろしくお願いもうしあげます
 
 
 
 

 辰辰辰辰 辰辰辰辰 辰辰辰辰 辰辰辰辰
    辰  辰   辰 辰   辰 辰   辰
   辰   辰   辰 辰   辰 辰   辰
  辰    辰   辰 辰   辰 辰   辰
 辰辰辰辰 辰辰辰辰 辰辰辰辰 辰辰辰辰
 
 
 
 
 

……というのを書いて、しかも知人友人に送りまくった
後になって、
「はたして2000年って辰年だったっけ?」
と不安になってきた新城です^-^)。

そんなわけでこれもNC通信なのですが、本来ならばここで
購読者の方からリクエストのあった大ネタ、
「もののけ姫のどこが構造的に間違っているのか」
を大いに語るべきところなのですが、あにはからんや、実は
ただいま電子年賀状発送の真っ最中。紙じゃないからきっと
便利だろうとタカをくくっていたのが運の尽き、さっきから
いったい何回、右上の「送信」ボタンをクリックしたことでしょう。
へとへと〜。

というわけで新年一発目は小ネタを。
実は先日、行ってきましたですよ、現地執筆に。
JRに乗って、北千住のむこうまで行ってから、とってかえして
新橋まで。いや〜、当初の予定では周防少年は横須賀線に乗って
南下するはずだったんですが、行ってみてビックリ新城カズマ。
なんと、

「横須賀線は、地下だった!」

のです。
いや、ホントに知らなかったんですよ。新城は。
こちらの腹づもりでは、暮れなずむ景色を窓の外に見ながら
周防が電車に乗ってる……というオープニングでいくはずだった
のですが。
いや〜、現地に行ってみてよかった。あやうく一世一代の大恥を
かくところでした。地元だからといって甘く見ちゃいけませんな、
やっぱり。
で。
せっかく新橋まで行ったので、どうせなら日枝神社くらいまで歩くか……
と思って下車。外へ出たら、しかしとっぷり暮れてすでに夜。
「だめだこりゃ」
と思ったときに視界に入ったのが、ニュー新橋ビルでして。
「……まてよ、昔このビルの中に古本屋があったような気が……」
したのが運の尽き。中に入ってぐるぐる歩き回ること半時間、飲み屋と
シャッターの閉まった怪しげな店舗ばっかしで、そろそろ帰るかと
思ったその瞬間、目の前の安売りビデオ屋の軒先に、
「半額セール」
と貼られた、まさにその下で!

『もののけ姫』
 

ぶはあ。おもわずズッコケそうになりました、新城は。
こういうのを「しんくろにしち〜」と謂うのでしょうか。さっそく
買って帰りまして。もっぺんこれをつぶさに観てから、例の、

「もののけ姫はどこが間違っているのか」

を書きたいと思ってます。ので、もうしばらくお待ちください。
 
 
 

 と、そんなこんなで新城は再び5巻執筆に戻ります。
それでは今年もよろしく。……
 
 

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2000年2月7日号その3より
 

 深夜散歩から帰ってきました。って、べつにず〜っと
歩き回ってたわけではなくて、戻ってきてシチューを食べて
小説書いてたんですが。NewCastleするのを忘れて没頭しておりま
した、もうしわけない^-^)。

 で。雪はとうに止んで、そこかしこの植木や電線の上に、
ちょびっとだけ残っておりました。積もる、というよりは、
「ふりかけてあった」
みたいな感じで。
 でもいいや。満足、満足。

 そんなこんなで小説はあいかわらず詩乃ちゃんの思春期な心理を
いじくりまわしているのですが。
 なんか5巻のテーマが、見えてきました(って、ここまで書き進めて
ようやくかい>自分)。
 4巻は……まもなく発売になりますが……簡単に言うと、周防少年が
ヒドい目に遭ったあげくにようやく●●●する話なのですが(この●●●
部分は、発売後に開示いたします)、今回は、
「みんなが●●●●についていろいろイタい想いをする話」
らしいな、と判ったわけで。

 ……また話は横道に逸れますが、
「わかる」
「分かる」
「判る」
「解る」
を、新城はけっこう気にして使い分けてまして、

「わかる」 ……とくにニュアンスをつけない場合や、慣用句の一部など
「分かる」 ……分類する、ひとつ(の理解や認識)を特にとりあげる
        英語のknow、understand、see
        または直前にひらがなが多い場合に「わかる」の代用として
「判る」  ……判別する、区別して認識する、正否や可否を正しく識別する
        二者択一の場合も、多数の候補の判定の場合もあり
        英語のrealize、perceiveに近い感じ
「解る」  ……正解を見つける、錯綜した事態を理解する、問題を解明する
        英語のsolveのようなもの

……てな風であります。辞書的正しさに一致するかどうかはさておき、個人的に
はそういう感じに使い分けております。
 がしかし、出版業界で原稿の校正をやってる人(たち)には、このへんの
ニュアンスが伝わらないらしく、毎度毎度、
「これはひらく(=漢字をひらがなにする)んでしょうか、それとも
 このままなんでしょうか、××ページ前ではひらいてたんですけど」
みたいな書き込みが著者校正用の原稿にあったりして、そのたんびに、
「なんで『解る』と『判る』が別物だと解ってくれないんじゃ〜!」
と、ひとりで怒りまくってるんですが。
 

 そもそも、
「ひとつの文章の中では、同じ単語は常にひらいてるか閉じてるかの
どっちかに統一しなければならない」
……という原則自体に、新城は非常な違和感があるのですが。
 いいじゃないですか、「わかる」と「分かる」と「判る」と「解る」が
混在してても。漢字で意味の区別できるんだし。漢字が意味を担保してて、
それをいろんな音で読める、というのはそもそも日本語(上代ヤマト語の文法と
古代中国語の表記法を混ぜている言語)の素敵な特長の一つなのだし。
 たとえば、
「明彦」
 という人名があったとして、これを、
「あきひこ」
「あきらひこ」
「ミョウゲン」
……などと、いろいろな音に変換できるところが面白いわけで。
 あるいは逆に、
「明彦」
「昭彦」
「彰彦」
……が、同じ音でも微妙なニュアンスの違いを伝えられてるところが、また
楽しいんじゃないかと思うんですが。
 日本語の「あき(らか)=あかるい=あける=あかい」と通じる意味の塊が、
さまざまな漢字に対応しているその複雑なネットワークが、日本語(の表記)の
妙味ではないかと……ダメですかねえ、こういうの。
 

 まあ、とにかく、そんなようなことを考えながら新城は小説を書いている
わけです。
 そのせいかな、遅筆といわれるのは。

 ちなみに「いう」「言う」「云う」「謂う」の使い分けもまたこれが色々と
ありまして^-^)……(以下略)
 

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2000年3月25日号その1より

 御無沙汰してしまいました、新城です。もうしわけありません
でした。
 ようやくNC通信できる機会をつかまえました。(とはいえ
現在、散歩執事の波島君が事務所にいるので、皆様のお手元に
これがとどくのは明日以降と思われますが……)
 今晩はこのまま事務所に泊まる予定なので、いろいろと積もる
話を書かねばと思っております。

 それにしても花粉……

 くそお。そのうち関東平野在住の花粉症患者で組合つくって、
杉の木をぜんぶ買い取って切り倒してやるうう〜〜〜……(残響音)
 

 閑話休題。
 前回のNC通信の続きにしましょう。

 周防少年の名前の由来について。前回、彼のもともとの
名前が「榊原周防」であったことまで書いたと思いますが。
 すでに察しのよい方は、気づかれたかもしれません。
 新城が「狗狼伝承」プロットをまとめていた当時……の
日付が、
 
 

 1997年の晩春
 
 
 

であったことを。
 その頃、いったいどんな大事件がこの国を震撼させていた
のか、皆さん、思い出してください。
 
 

 そうです、それは……
 

(以下、数時間後の次号へ続く^-^;;)
 

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