問、ヒント及び語彙集、架空言語作成入門(エルスウェアホームページに掲載)などを参考にして、下のクシュカ語を和訳せよ。(各10点、部分点有)
期限は10月30日とする。結果は後日HPにて発表する。
※前回の結果
※その後の研究で架空言語作成入門に載っている文法は必ずしも正確ではないことが判明した。よって、あくまで参考にとどめること。
問題1(断章2-9の08より、クシュカ語のことわざ)
・skarran khurz tagh edan us^kvel.
※翻訳のヒント……クシュカ語の慣用として、短い文章では述語{動詞}が主語の先に置かれることが多い
※khurz{名:フルズ、クルズ}
1. 羊の群れ。
2. 放牧された獣の集団。
3(雅)民衆。民草。
問題2
・us^kn urnavn lakh hilvelai vnakver
lahuande.
※翻訳のヒント……
例文α: kuva lahuan lakh akhvai「王は多くの世界をさまよった」
β: kuan us^k, edande us^kiya.「(一頭の)牡馬はとどまり、多くの牝馬は進んだ」
γ: lhay` ky`lzav ve gauna lhayen
hianavn.「金色の鷲と、銀色の鷲の女主人」
δ: gauna lhalien hianarn.「銀色の鷲たちの女主人」
問題3
・za vnakilunga lohnimel, vnakver vossiel,
ve yataitaiel lakh vnakilunda.
※翻訳のヒント……
例文α:hoslil vnakver, ksiz lver「夢見るように私は眠る、歌うようにあなたは踊る」
※一般ヒント集……断章逐語翻訳メモ
・za nin Balag-i-Nus^en lam zr Khuljnai,
sky'a knissan ve pavan Ky'lzuv Lugnai.
「〈夜の涯の門〉より出づる者あり、番人は目覚めて〈黄金の月〉を鍛える」
za Balag「門の外から」……ここでbalaは固有名詞なので大文字表記。-aで終わる名詞を奪格(「〜から」)にするには、gを後ろに加えればよい。
Bala-i-Nus^en「〈夜の涯の門〉」……直訳は「夜の門」だが、ここでは古典クシュカ語の用法(nus^=「夜の果て」)に従った。nus^は子音で終わる名詞なので、属格(「〜の」)にするには、-enを加える。ちなみに属格複数「数夜の、夜たちの」にするには-ienを加える。
ここで前置詞-i-は、Nus^enの属性を明確にするために置かれている。単に、
bala nus^en 「夜の門」
でも意味は通じるのだが、このままでは夜のほうが門を所有しているかのようにも受け取れる(古典クシュカ語では、属格は所有格的機能を併せ持つので)。
-i-が置かれることで、これは所有関係ではなく、夜という空間ののどこかに門が存在すること、そして夜という属性と分かちがたく存在している、というニュアンスを与えている。もしも空間的関係のほうを強調したいのなら、
bala lakh nus^en 「夜の内部にある門」 ……内包的位置
bala vas nus^en 「夜の(どこか一点にある)門」 ……点的位置
という表現も可能である。
nin「(それは)来る、いる」……語幹はn-、語尾の-inで3人称単数現在形をあらわしている。この断章は韻文なので、通常の語順に従っていない。ふつうの文であれば、
*zr lam ve nin Khuljnai za
Balag-i-Nus^en
「〈夜の涯の門〉から(すでに)出現し、(今やここに来て)いるのは宇宙侵入神であった」
という風に書かれるだろう。zrと(linの過去完了形である)lamの組み合わせは慣用句で、「そこにあらわれたのは〜であった」を意味する。
Khulujnai「宇宙侵入神(を)」……慣用句「zr+存在動詞の過去完了形」で主語となる単語は、対格(「〜を」)をとるのがこれまた慣用になっている。したがってここでは、Khulus^は-aiを加えることになる。のだが、名詞語尾-s^は対格になる時は-jnと変化するので注意が必要。古典クシュカ語では-s^と重母音aiは相性が悪いらしい。
knissan「目覚めた」……knissin「彼は目覚める」の過去形。
Ky`lzuv Lugnai「〈黄金の月〉を」……ここでは名詞が対格をとっているので、それを修飾する形容詞も対格になる。
lugna ky`lzav 「黄金の月が」
lugnen ky`lzavn 「黄金の月の」
lugnai ky`lzuv(a) 「黄金の月を」
lugnad ky`lzakha 「黄金の月へ、のために」 複数形lugnanda
ky`lzhar
lignag ky`lzak 「黄金の月から」 複数形lugnanga
ky`lzkar