12月2日
第3巻のプロットVer.2.2を完成。Enyaの音楽に影響されて最後の最後でとってもラブリーな救いのある話になってしまう。
どうやら柳川は音楽に影響されやすいらしい。
夜、就寝前に夢野久作の「少女地獄」を社会思想社教養文庫版で読み直す。
やっぱいいわ、久作。
12月3日
曇天。冷たい雨が降ってきて、社員一名が「水もしたたる良い男」になる。
第3巻プロットを、担当編集の”3ヶ月”佐藤女史に見てもらう。とりあえず好評。ありがとうEnya!
が、まだ正式なGOサインは出ないので、週末まで他の小説を書くことにする。
「よっしゃ、例の書きかけのやつを!」
しかしあいかわらず豪華客船の資料が足りないので、これを読んでいる皆様におすがりすることにしました。詳細はこちらへどうぞ。
12月6日
エルスウェア恒例の「年越しお料理宴会」、第一回が開催される!
(問題:上記の文における矛盾点を一つ指摘しなさい。配点 5点)
宴会場の現場写真は、参加者の掲載許可をもらっている最中。刮目して待て!
12月23〜27日
柳川、姉夫婦のところへ転がり込み、甥っ子姪っ子と遊び倒す!
クリスマスのごちそうを食べ過ぎて巨大化した柳川(予想図)
12月30日
コミケの2日目。
新城カズマ、柳川房彦に変身して営業に行く。
挨拶回りが終わって午後、PBM関係のあたりをぶらついて、ふと1冊の同人誌に手を伸ばす。と、そこの売り子嬢が……
嬢「PBMってご存じですかぁ?」
柳「ええ、まあ」
嬢「やったこと、あります?」
柳「(この場合はプレイヤーとして、ってことだよな……)いえ、ないです」
嬢「そうなんですか! PBMというのはですね、RPGとは違って、郵便でやりとりするゲームなんですよ! たとえば……」
邪悪な魂の持ち主である柳川が、ニコニコ顔で、売り子嬢の熱心な解説に耳をかたむけていたことはいうまでもあるまい。
で、5分後。
柳「じゃ、これ1冊おねがいします」
嬢「あ、ありがとうございます! 300円になります!」
柳「あ、どうも。それから……」
懐から名刺入れを取り出して、
柳「わたくし、こういう者でございます」
有限会社エルスウェア |
代表取締役 |
柳川房彦 |
|
小説家 |
新城カズマ |
嬢「………………ひいっ!」
というような感じで、とっても楽しいコミケでございました。
12月31日
畏友・T氏の地所にて、毎年恒例の年越し討論大会。
今回の主な議題は『少女売春を否とする根拠は、どこに求められるか?』
1999年
1月1日
で、討論大会の結論は……
『じぶんの血縁の少女が売春する時ぐらいは、無根拠でもなんでもいいから頭ごなしに叱りましょう』
つまるところ合理性というのは、肉体という不合理の海の上に、くらげなすただよへる浮島なのである。
というような話を、よりによってノストラダムス年の初日から、かますとは……。
今年はとってもいい年になりそうです。
1月2日
T氏に呼び出され、新宿で『アルマゲドン』を観る。
同ネタの『ディープ・インパクト』がディープでもなければインパクトもなかったぞ、と知人から聞かされていただけに、心配しつつ館内へ。
しかし面白かったので一安心。シナリオ構造が破滅ものではなく、戦争ものになっていたのも勝因か。
つまり、
〈戦争もの〉 |
〈アルマゲドン〉 |
ドイツ軍の新兵器 |
巨大小惑星 |
もうすぐ西部戦線に投入 |
あと18日で地球に衝突 |
破壊工作ができるのは唯一の希望は
頑固軍曹率いる凸凹鼻つまみ兵士 |
変人ぞろいの石油掘削チーム |
地元の老レジスタンスが手を貸す |
ロシア宇宙ステーションの
変なロシア人が手助けする |
頑固軍曹と新兵の対立 |
主人公(B・ウィリス)と、その
娘に手を出した若い掘削屋の対立 |
上層部は無慈悲にも、凸凹部隊
もろとも敵をせん滅しようとする |
ヒほぼ同じエピソード |
う〜む、さすがハリウッド! シナリオづくりの勉強になるなぁ。
1月3日
田舎に帰る車中で、飯島和一『神無き月 十番目の夜』(河出書房新社)を読む。
むちゃくちゃ面白い。
1月4日
『神無き月十番目の夜』読了。
宮崎駿が『トトロ』をつくった時に、「外国ばかりを舞台にして、日本(という場所、文化)への負債をためこんでしまった」という主旨のことを書いていたのを思い出す。
結果、彼は『もののけ姫』をつくるのだが……『神無き月』はその『もののけ』よりもはるかに見事に「日本中世のたそがれ」を描いている。
というより、『もののけ』はプロット構造が半壊しているので、文字どおり「お話になってない」というのが私見(←おお、いいのか柳川! こんな大胆なこと言って!)。
というわけで、ここを読んでいる皆様!
ぜひ『神無き月』を読みましょう! 高くて買えないなら、せめて図書館にリクエストしましょう! 『もののけ』よりも面白いぞ!
『もののけ』のどこがどう壊れてるのかは、そのうちここで書きます。乞御期待!
1月4〜5日
田舎の祖母に会って、昔の女学校の話を聞く。じつは彼女は若い頃モガだったのだ。すごいぞ、おばあちゃん!
彼女は当時、江戸川乱歩を愛読していたことも判明。なんと、柳川は由緒正しき乱歩マニア三代目だったのである!
やっぱり血か?
話の途中で、『そういえばどっかに菊池寛の全集があるよ』という祖母の爆弾発言。柳川あやうく昏倒。
「菊池寛の全集!? マジ!?」
さっそく本棚捜索決死隊が編成され、全十二巻のうち九と十一以外は無事発見。しかも昭和四年の初版。箱入り!
柳川、狂喜乱舞!
ついでに白井喬二の『上杉謙信』(博文館文庫)が、なぜか上巻だけ見つかる。
我が家系、あなどりがたし!
夜、山本ひろ子『中世神話』(岩波新書)を読了。とっても面白い。『変成譜』も素晴らしかったけど、こっちは新書なだけにわかりやすい。
時念神話体系の元ネタとして有効に使えそうな予感。
1月6日
田舎から、わざと在来線の各駅停車で帰京。
行きは2時間のところ、なんと7時間かかる。
長すぎるぞ、日本列島!
車中にて、中勘助『提婆達多』(岩波文庫)を読了。
若気の至りから仏陀に敵対したひとりの男の、悪あがきと一人相撲を感動的に描いたお話であります。
古代インド版『アマデウス』とでもいいましょうか。最後の一段落が泣かせます。
ちなみに、途中、主人公が釈迦の嫁さんを寝取るシーンでの伏せ字も(別の意味で)泣かせます。主人公はあきらかに両刀使いで、ほとんど少女漫画の世界だし(笑)。
う〜ん、大正文学あなどりがたし!
1月12日
文芸春秋(98年11月号)に載ってた福田和也の日本クーデタ計画論文について、友人の植田氏と話をする。
柳「でね、このクーデタ計画によると、国体は護持するんだけど大統領制もしくは首相公選制を導入するっていうんだよ」
植「…………(あきれている)」
柳「いったい元首は誰になるんだ、その場合?」
植「そもそも(この国の住人は)国体についても大統領制についてもよくわかってないんじゃないですかね」
柳「だよね! だいたい首相を公選するって何なんだい。素直に大統領制にしちゃえばいいのに。ちなみに首相公選制って誰が言い始めたんだろ」
植「まあ、この手の奇矯ことはたいてい中曽根ってことになってますが」
どっとはらい。
それはともかく、上記論文はひさかたぶりの抱腹絶倒コメディです。機会があったら図書館などで探して読んでみてください。マジで笑えます。
とくに蓬莱ワールドで政治的物語にかかわったことのある皆さんには、とてつもなく素敵な脱力感が味わえることをお約束します。
1月13日
深夜、自民・自由の連立協議がまとまる。
おお、抱腹絶倒コメディはこんなところにも……。
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