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★柳川/新城先生のありがたいお言葉の解説(解説文責……:散歩男爵 :散歩執事)
1999年のお言葉 12月の一言に代えて:反・ライトノベル書評宣言〜もしくは現在進行小説の現在進行形能動態
――神という観念が陳腐化した今こそ、神についての真剣な思索が可能となったのである。云々。
アーサー・C・クラーク『楽園の泉』の登場人物が記した言葉だ。興味深いことに、この文は主語に何をあてはめても意味が通じる。「大日本帝国」。「高度成長」。「共産主義」。「紅白歌合戦」。「一九九九年のハルマゲドン」。「機動戦士ガンダム」。あるいは「ライトノベル」。
対象の生気が失せてから、分析と解剖のゲームは始まる。
戦後マンガが、手塚治虫の処女作から「大人の鑑賞に耐え得る媒体」と認知されるまでに四半世紀。TVアニメの初放送から、おたくの誕生まで二十数年。ドラクエ1の発売から「将来の日本の基幹産業(笑)」にされるまでが二十年。だんだん早くなってくる。してみると、われらが軽小説【ライトノベル】も、そろそろ「大人に認められ」ていいお年頃というわけだ。そして批評がスタートする。……それとも?
もうひとつ引用しよう。
――ぼくらは、現在の読者に最大の快楽を与える作品を提供する。対して彼らは、彼らの曾祖父に最大の快楽を与えた作品を今だに提供している。
書かれたのは十九世紀、書いたのはスタンダール(一七八三〜一八四二)、要約すればこんな感じ。ちなみに「彼ら=古典主義文学」のことらしい。けれども不思議なくらい、この「ぼくら」はライトノベルの定義だ。
【全傍点→】現在の読者に。
さて、そんなわけで――一番乗りに現在【いま】を切り取るのは、解剖者のメスさばきか、それとも語り手の舌先(もしくはキーボードを叩く指先)か? 旗は振られた、アクセルは踏まれた、コーナーは目の前、ピットのクルーは大騒ぎ。けれどレースの行方を決めるのは、なけなしの数百円をレジで支払った読者のみなさんだけが口にする権利を有する、例の魔法の言葉――
「で、これからどうなるの【What Next】?」
きっとそれだけ。
新城カズマ◎小説家、架空言語設計家。『蓬莱学園シリーズ』『狗狼伝承』『浪漫探偵・朱月宵三郎』『ジェスターズ・ギャラクシー』『星の、バベル』など。柳川房彦の名義でゲーム制作や翻訳もおこなう。
執事注:このテキストは日経BP社より出版された「ライトノベル完全読本Vol.2に掲載された序文の誤字を修正し掲載しているものです。
3月〜7月の一言:そりゃ「虐待」じゃなくて「拷問」だっつーの!&その他いろいろ
というわけで、この数カ月間、疑問に思ってたり怒ってたり呆れてたりしたことを、以下にどばっとまとめてみました。勢いをつけるために、ちょっと乱暴な口調になってますので、ご容赦をば。
0……イラクのアブ=グライブ(もしくはグレイブ)刑務所の件ですが。情報を吐かせるために捕虜に苦痛を与えてるんだから、誰がどう考えてもそりゃ「拷問」だってば。なんでみんな「虐待」って言ってんの? 二重思考の世界は既に到来してるのか???
1……米軍に喧嘩売ってるサドル君はまだ神学生のはずなので、「師」はおかしいんでは?
2……敬称で思い出したけど、スペインとかベルギーとかは「皇太子」じゃなくて「王太子」じゃないのかしらん。「王国」の「太子(=王子)」なんだから。日本は「皇」室って名乗ってるから「皇」太子だけど。
3……小泉首相って、仕事せずに会社に払ってもらってた分の年金、受け取るつもりなわけ? それって「働かなかった期間に対する年金」であっても、もらって良いってこと? 給料って勤務じゃなくて在職に対して支払われてるんだっけ? それに……「次回当選するための準備運動」が勤務内容として認められるんだとしたら、立候補予定者たちが勤務する「選挙活動会社」をつくっても良いってこと? その場合、現行の政治資金規正法は完全に無意味化されるんだけど、それでもいいの?>国民のみなさん。ていうか、今でもそういう実態ってあるのかしらん。
4……議長不信任案が提出されてる間の議長に、議長権限ってあるの? それから、正副議長は党籍を離れて就任するものであって、つまり不偏不党の精神で行動すべきなのに、なんで民主党の副議長は民主党に利するような散会宣言をしたの? 最近の国会って、そういう「建前」さえもチャラになってんの? 委員会の野党質問途中での打ち切りがOKだと言ってる自民党の人たちは、なんで本会議の散会(=途中打ち切り)宣言に対して怒れるの(たとえそれが民主党に偏ったズルい行いだとしても)? 散会宣言した副議長がダメだってんなら、委員会審議を途中で打ち切った自民党の委員長のこともダメだって言わなきゃいけないんじゃないの? 与党も野党もなんだかほんとにアホな子供みたいだ……。
5……「政治の諜報化」ということを以前のNC通信で危惧したんだけど、それよりもむしろ「誤諜報化」とでもいうべきアホアホしい事態になってきてるなあ。最近の米国国防総省ってなんだかまるで戦前の陸軍とか関東軍みたい……「積年のイラク問題を、国内問題と共に一気に解決すべし!」とばかり、誤情報とマッチポンプでもって海の向こうの歴史ある大陸と古都に突っ込んでって。とすると、あのニック・バーグ青年は悲運な大陸浪人ってところか? まさか上海事変みたいに「アブ=グライブの醜聞を隠すための」ってオチじゃないだろうなー。
6……西武が「もうひとつ合併話が進んでます」って言ってたのに、出てきた話がロッテとダイエーの合併なわけ? これじゃまるで「ほんとは米政府を説得すべきところを、なぜかジェンキンズ氏に対して、安心して日本に『帰ってきて』下さいと説得する日本政府」みたい。
7……うーむすごい。上記のネタの大半が(ほんの3ヶ月以内なのに)大半世間から忘れ去られとる。どうなってんだ、いったい。……
2004年2月:「かなりネタばれ気味に……オープニングがそれのアップからってやっぱ監督の趣味かよ!とか、ゴンドールの狼煙もっと低地に設置しとけよ!とか、こらこら爺さん、いやしくも執政殿にそんなことしていいのかよ!とか、巨大サーチライトかよ!とか、巨獣を攻撃するなら正面突撃じゃなくて騎馬の速度と機動力を活かした左右両翼への迂回→連射→離脱の繰り返しだろ!とか、『パイレーツ・オブ・ウンバーリアン』かよ!とか、またピーター『崖から落ちて』ジャクソンかよ!とか、アルウェンそこだけ急に『アルマゲドン』演技かよ!とか……ツッコミどころは多々あるんですが、しかしそんなこんなも全部ひっくるめて、すべてよし! Forth Eorlingas、そしてhail the Halflings!」
執事注:ネタバレを含むため別ページとしました。「ロード・オブ・ザ・リング〜王の帰還」を未見の方はご注意下さい。
2004年1月:「ラテン語と古英語は順調に進んでるので、 今年はもっと漢文だ!」
毎年のことでやんすが、そんなこんなで今年は
さらに頑張るぞ〜。